海事普及会は東京海洋大学(旧 東京商船大学)の課外活動団体(部活やサークルのこと)です。海洋工学部学友会に正式に所属し、海と船の事を多くの方に知ってもらうための活動をしています。
海事とは船を中心としながら造船や流通、海上保険、港湾までを含む言葉です。魚をはじめとした海洋生物や漁業のことは含まず、あくまで交通手段としての海を指す言葉です。
活動概要
海事普及会では海、船の事を多くの方に知ってもらうため巡回活動や地域のイベントへの参加、プラネタリウムの公開などを行っています。
活動の原点である巡回とは海に縁のない地域の子供達に海と船の役割や面白さを伝えに行く活動です。
地域のイベントでは手旗信号やロープワークを通して海の文化を知ってもらえるようにブースの出展をしています。最近では科学を通して船に興味をもってもらえるよう新しい形態でのブース出展も始めました。
また、日本最古の国産プラネタリウムの運営を大学から委託されており、プラネタリウムを用いた海事普及活動にも取り組んでいます。
歴史
海事普及会は長い歴史を持っています。海事普及会の創立は1957年(昭和32年)で、 「商船大学」が「東京商船大学」と改称された年でもあります。初代主将は商船大の7回生で、10名の部員によってスタートしました。
創立当時は、商船大を筆頭に、水産大、早稲田大、慶応大、明治大、法政大の東京の6つの大学のメンバーから構成され、それぞれの大学に海事“思想”普及会や海事“流通”普及会などの役割を置いていました。とりわけ、海事思想普及会では、『港々に女あり(A Girl in Every Port)』(1928年)などの映画の影響で、船乗りのイメージが下がってしまったことに対する正しい“思想”の普及が目的であったようです。
当時の活動は、日本国内だけではなく、アジア(韓国)やヨーロッパ(ドイツ)などとも大使館を通した交流を行い、国際的な活動が行われていました。日本船長協会の協力により、海事普及会の活動及び活動の発展が行われてきたようです。
(2009年7月20日、商船大7・37期生合同卒業50・20周年同窓会での初代主将の話をもとに記載)
現在では日本殉職船員顕彰会が主催する追悼式のお手伝いや、海事広報協会の広報イベントのお手伝いをさせていただいています。また、2015年1月に海事振興連盟ボランティア事務局に指定していただきました。
活動場所
活動時間:必要に応じて水曜日の18時から
活動場所:校舎地区グランド横の部室や越中島会館屋上のプラネタリウム(下図の13)など
※このほかにイベントへの参加は月に1.2回ほどありますが、任意参加です。
※見学される場合、ご連絡がある場合はあらかじめメールで連絡させることをお勧めします。
部室は(☆)にあります。
具体的な活動例
海事普及会には通常の活動といったものがありません。複数あるイベントに向け準備をして、イベントを成功させるといった活動を続けています。活動の対象は、小学生(時にはまだ学校に通っていない子も!)から高校生までと幅広いですが、対象に合わせて説明・普及をするように心がけています。
子供たちは年齢が近いこともあり、興味津々の様子で話を聞いてくれます。真剣な眼差しで話を聞いてくれる子や、イベントで楽しそうにしている子たちを見て、海事普及会で活動していてよかったなと思うことがしばしばあります。
巡回活動
日本は海に囲まれた島国とはいえ、海とは縁がない地域も無数にあります。私たちはそんな地域を巡り、「海外からどのようにものが運ばれて来るのか。」「どのような仕事の人が運んでくるのか。」といった切り口で海事について講演をする活動をしています。
硬いイメージなのかなと思われるかもしれませんが、手旗信号や身近な話を織り交ぜながら、楽しい講演にするよう心がけています。
地域のイベント
比較的遠くに普及に行く「巡回活動」以外にも、本大学の越中島キャンパスがある江東区やその周辺の中央区でも活動をしています。「古石場子供夏祭り」や「子供と試す環境祭り」での「ロープワーク教室」や、江東区民まつりのパレードの際の「フラッグ隊」など海を学ぶ大学生ならではの形でさまざまな行事に参加しています。また、2015年から船についての科学をテーマにしたブースを「むさしのサイエンスフェスタ(武蔵野市主催)」へ出展をしています。
江東区に昔から住んでおられる方の中には、東京海洋大学よりも東京商船大学の名前で親しみを持っている方、好感を持っている方も多くいらっしゃいます。会の先輩方が作ってくださった機会を生かして、地域の方々の期待に応えていくべく活動に励んでいます。
海事団体への協力
・戦没・殉職船員追悼式
追悼式では東京海洋大学を代表して、実行委員を務めさせていただいています。戦没・殉職船員追悼式とは先の大戦で犠牲となった6万余人の戦没船員と、戦後海難などで殉職した船員の追悼を行う式典です。
・海事広報協会、夏のイベント出展
毎年夏季に開催される公益財団法人日本海事広報協会の『“海と船”と遊ぼう!』ブースでは、操船シミュレーターやペーパークラフト教室、スタンプラリーなどのイベントが行われ、海事普及会のメンバーもお手伝いしています。写真は2015年の「ワークショップコレクション in渋谷」での様子です。
J-CREWプロジェクトのメンバーと共に記念撮影!
このほかにも様々なイベントの協力してきました。写真は2015年7月に晴海と横浜で行われた日本郵船の自動車専用船「APHRODITE LEADER」の一般公開でアテンドをしたときの様子です。約6000台もの自動車を積み込むことができる大型船を間近で体感することができました。
大学構内のイベント
越中島キャンパス内でも、海王祭や海の日でのブース出展、プラネタリウムを活用した海洋教室などを行っています。
・海王祭
毎年六月の初めに開催される、東京海洋大学の学園祭、海王祭では主に「プラネタリウム上映会」と「ロープワーク教室」、「手旗信号実演」を実施しています。
「プラネタリウム上映会」
「プラネタリウム上映会」は、国産で現役最古のプラネタリウムを見る貴重な機会です。運営は毎年、入部したての一年生が協力して行っています。そのため上映内容も毎年異なるのが特長です。手作り感のある上映会を毎年、楽しみにしている常連のお客さんもいらっしゃいます。
「ロープワーク教室」
越中島会館の一階、生協購買前では「ロープワーク教室」を開催しています。チャイニーズスクエアマット作りのコーナーは自分の好みの色で作ることができ、持ち帰ることができます。部員による丁寧な解説付きということもあり、小・中学生にも人気です。
・海の日
7月の第3月曜日にあたる海の日には、東京海洋大学の両キャンパスで記念行事が行われます。海事普及会では「キャンパスツアー」と「ロープワーク教室」を行います。
キャンパスツアー
商船大学時代から約140年の歴史を経てきた越中島キャンパスでは、明治丸や一号館をはじめ、文化財に指定された史跡が数多く残されています。海事普及会は海の日にこれらの史跡を案内するキャンパスツアーを行っています。
ロープワーク教室
ロープの様々な結び方を紹介するロープワーク教室を開催します。
海の日とは明治9年(1876年)、明治天皇の東北地方巡幸の際、乗船されていた汽船「明治丸」が7月20日に横浜港に到着したことを記念して「海の記念日」が制定されました。海の記念日は平成7年に「海の日」という名称に変更されました。“海の恩恵に感謝し、海洋国家日本の繁栄を祝う”ことを趣旨とした、明治丸で教育をした歴史を持つ東京海洋大学には縁の深い記念日です。
・プラネタリウムと明治丸を活用した海事教室
2015年からNPO法人日本海洋塾と協力し、海洋教室を始めました。修復工事が完成した明治丸の見学やプラネタリウム鑑賞会、海事講演会などで構成しています。
メンバー構成
現在の部員は55人で、海洋工学部の各学科の学生が入会しています。内訳は男子人、女子人で、学科別内訳はです。※2024年4月現在
海事思想を普及しようと入部したやる気溢れる部員や海洋大らしい部活に入りたいと入部した部員、プラネタリウムに憧れて入部した部員などそれぞれの入部理由はバラバラですが、各企画に一致団結して活動に取り組んでいます。
活動するときに着用する海洋大学工学部の正服※